鳥獣管理コンピテンシー


 JWMSが提供するオンライン講座・フィールド講座は、鳥獣管理技術者が身に付けるべき知識や技能、行動態度(コンピテンシー)を想定して開講されています。ここでは、動物生態学、鳥獣管理学、社会と制度の3分野ごとに、コンピテンシーをまとめてみました。それぞれのコンピテンシー項目に対して以下の基準で自己評価を行ってご活用ください。コンピテンシーは、これからの学習目標や、鳥獣管理技術者としての到達目標としても利用することができます。コンピテンシーを達成する近道は、JWMS鳥獣管理講座を受講いただくことですから、是非ご検討ください。

 

 

コンピテンシーの評価基準

 3   達成している:指導なしで独立して達成できる。

 2  指導が必要:制限された指導のもとで完全に遂行できる。

 1  習得していない:指示や綿密な指導が必要である。

 N  経験なし:このタスクに関する経験や知識がない。

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JWMS鳥獣管理コンピテンシー
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動物生態学

(入門コース開講科目のコンピテンシー)

  • 野生動物の生活史と生命表を用いて生態学の基礎を理解し、管理計画の作成に役立てる。
  • 野生鳥獣の個体数変動を生存率や繁殖率の変化させるシミュレーションによって確認し、管理計画の重要性を理解する。
  • シカ類の分類と分布、生態学的特徴、農業、林業、生態系、生活安全被害の概要について理解する。
  • エゾジカの分類・形態・生態・行動に関する知識を身に付け、捕獲や調査の計画に役立てる。
  • イノシシの生物学的特徴と基本的な生態、行動特性、効率的な対策、分布拡大の問題点、遭遇時の対処法を理解する。
  • ニホンザルの生物学的特徴と基本的な生態、被害の由来、共生の必要性を理解し、管理計画や対策に役立てる。
  • クマ類の生物学的特徴と基本的な生態、世界的な政策を理解し、保護管理と被害防除の仕組みを理解する。
  • ヒグマの生息数や分布、基本的な生態、人とヒグマの軋轢の背景を理解し、対策に役立てる。
  • カラスの生物学的特徴と基本的な生態を理解し、カラスの行動を予測できるようにする。
  • カワウの被害発生の原因を理解し、ねぐらやコロニーを発見して個体数をカウントしたり被害金額を算定する。
  • カモ類や水鳥の種類と基本的な生態、農業や漁業に与える被害の概要について理解する。
  • アライグマの形態、行動、繁殖特性を理解し、識別やワナ設置、効率的な捕獲計画に役立てる。
  • ハクビシンの形態、行動、繁殖特性を理解し、識別やワナ設置、効率的な捕獲計画に役立てる。

(応用コース開講科目のコンピテンシー)

  • ニホンジカによる生態系被害、生息状況調査法、管理方法について理解し、管理対策に役立てる。
  • エゾシカと人間の歴史と軋轢、全道レベルの管理計画の概要を理解し、地域の管理計画立案に役立てる。
  • イノシシの捕獲や防除などの対策の実施による被害増加の危険性や対策の評価について理解し、対策の高度化に役立てる。
  • ニホンザルの群れ識別の重要性を理解して、管理計画や現場の被害対策に役立てる。
  • ツキノワグマの捕獲数上限設定やゾーニングの背景、捕獲数管理の基礎となる生息数調査方法を理解する。
  • 人とヒグマの軋轢の背景となる人間社会の変化について説明でき、これからのヒグマ管理について現場で適用できる。
  • カワウの被害防除方法や効果的な個体群管理法を提案し、正しい被害対策を現場に適用できる。
  • カラスの行動から種を同定したり、生態の違いも把握できるようになる。
  • アライグマ・ハクビシンの多様な被害を市民に説明でき、関連法制度に基づいた適切な計画や科学的な捕獲を行う。
  • キョンの基本的な生態と被害発生機序を理解して、効果的な対策に役立てる。

 

鳥獣管理学

(入門コース開講科目のコンピテンシー)

  • 被害対策の重要性、基礎、集落点検のしくみを理解して、管理計画や現場での被害対策に役立てる
  • 個体数推定の方法を、基本的なモデルを使って理解し、管理計画の作成に役立てる。
  • 防除対策は、物理的な方法と心理的効果による方法に大別され、様々な方法があることを理解する。
  • 電気柵は動物種別に仕様が異なることを理解し、対象とする動物別に電気柵を適切に設計する。
  • 生息地の視点から、森林管理や集落環境の整備の重要性を理解して管理計画や集落支援に役立てる。
  • ワンヘルスの内容や意義を理解し、鳥獣管理計画に共通感染症対策を位置付けられる。

(応用コース開講科目のコンピテンシー)

  • 鳥獣管理における現場で必要な対策を選択したり、新たな技術・価値を理解して地域の活性化に向けた取組を提案する。
  • 鳥獣対策の様々な事例の理解を通じて、今度の効果的な対策に役立てる。
  • 適切な捕獲手法やデータ分析により個体数を推定するとともに、個体数管理手法に基づいて適切なアドバイスを行う。
  • 電気柵の仕組みと詳しい施工方法、設置の注意点を理解し、電気柵の現場での設置に役立てる。
  • 電気柵設置後の管理の注意点、よくある失敗とその理由を知り、現場での適切な導入に役立てる。
  • 道路と交通事故を鳥獣管理の視点から理解し、道路に関する総合的な獣害対策に役立てる。
  • 地域住民に地図を用いて被害発生の原因を説明したり、集落診断を行って対策に取り組む住民をフォローアップする。

(実践コース開講科目のコンピテンシー)

  • 生態学的な知識をもとに現場確認をしたり、集落の獣害対策の実情や課題を地域住民から聞き取り把握する。
  • 調査方法の基本を身に付け、痕跡、聞き取り、カメラトラップ等による基本的な集落調査を行う。
  • 分布、被害、捕獲等の野外調査のデータをとりまとめ、GISソフト等を用いて分析する。
  • 大型獣の侵入防護柵の種類と特徴を理解し、現場で電気柵や物理柵の施工を行う。
  • 有害鳥獣捕獲に用いる箱わなやくくりわなの特徴を理解し、現場に設置して地域住民とともに維持する。
  • サル対策で必要な位置情報を取得したり、集落にサル対策を導入するための学習会を開催する。
  • アライグマやハクビシン尾被害調査を行い、防護柵やワナを設置して対策を行う。
  • カラスの学習能力、記憶力、識別力をもとにしたカラス対策を導入する。

 

社会と制度

(入門コース開講科目のコンピテンシー)

  • 鳥獣害の歴史、種類、法制度について知り、鳥獣害を考えるための枠組みを理解して役立てる。
  • 捕獲や交付金運用など対策活動に関係する法的根拠が理解できる。
  • 外来生物の生物学的な定義や対策の必要性を理解し、外来動物の根絶や制御に関する防除実施計画を立案できる。
  • 様々なステークホルダーの合意形成に向けたワークショップをファシリテートする方法や課題について理解する。
  • 肉質変化、安定供給、衛生面、経済性等の課題を理解した上で、ジビエ利活用に役立てる。

(応用コース開講科目のコンピテンシー)

  • 行政機関により行われている野生鳥獣のモニタリングと、現場の鳥獣管理で求められるモニタリングを理解する。
  • 捕獲制度を理解し、適法な捕獲活動を行うとともに、捕獲報告を分析することで、効果的な捕獲対策に役立てる。
  • 国立公園等の保護地域の制度や鳥獣管理の考え方の変遷を理解した上で、鳥獣管理技術を現場に適用する。
  • 鳥獣管理技術者に求められる倫理について理解し、責任ある態度で対策に臨む。
  • 農山村集落の現状と予測を踏まえた上で、地域の生態系に根ざした循環型社会の地域システムづくりを展望する。